Technology
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Ecobody技術®
Ecobody技術®の概要
Ecobody技術®は名古屋大学で開発された技術です
本技術により、
ヒトや動物の体内で作られている
有用な抗体を
網羅的に短時間で取得し
評価することが可能となりました。
Ecobody技術®の特徴
Ecobody技術®ではヒトや動物の個々のB細胞(シングルセル)から抗体を取得することができます。
この技術では、従来技術のようにB細胞を不死化させて増殖させる必要がないため、増殖に対応できないB細胞が脱落することが無く、本来ヒトや動物が持っている抗体の多様性を維持したまま抗体を取得する事ができます。
また従来は、動物細胞や大腸菌といった生きた細胞をもちいて抗体を発現させる方法が主流で、抗体遺伝子の配列によっては発現が困難なことがありました。
Ecobody技術®では、無細胞タンパク質発現系という生きた細胞を使用しない試験管内での反応により抗体を発現させます。
このため、すべての抗体を一定量発現させることができ、また、2日間という極めて短時間での抗体の取得が可能になりました。
技術詳細については下記動画(音声付き)および参考文献をご参照ください。
関連特許
・タグ付抗体(日本 特許第6744670号)
・タンパク質の発現方法(日本 特許第6681625号 / 米国特許番号10975376)
※いずれの特許も当社が名古屋大学より独占的実施権の許諾を受けています。
他の抗体取得技術との比較
Ecobody技術® | ハイブリドーマ法 | ファージディスプレイ法 | |
---|---|---|---|
適用動物 | ウサギやヒト | マウス | 不使用 |
時間 | 最短2日※ | 数か月 | 7週間 |
培養操作 | 不要 | 必須 | 必須(大腸菌) |
要素技術 | シングルセルテクノロジー ・無細胞でのタンパク質発現 | 細胞融合・培養 | 大腸菌発現 |
自然抗体の取得 | 可 | 可 | 困難 |
※動物の免疫期間は含まない
ウサギモノクローナル抗体
ウサギ由来の抗体は、抗体産生動物として一般的に用いられるマウスに由来する抗体よりも、抗原認識能が多彩で、高い抗原親和性を有します。
このため、低分子に高い親和性で結合する抗体や、タンパク質のわずかな変異や修飾を特異的に認識する抗体の作製に向いている事が知られています。
マウスで目的の抗体が取得できないとき、ウサギを用いたモノクローナル抗体の作製は有用な手段です。
ウサギモノクローナル抗体取得実績
低分子抗原に対するモノクローナル抗体
生理活性低分子を高い親和性・特異性で認識するモノクローナル抗体を取得
標的物質の存在下でのみ強い競合が確認され、関連生理活性物質A~Hには反応しない
翻訳後修飾を検出するモノクローナル抗体
タンパク質のリン酸化を特異的に検出するモノクローナル抗体を取得
リン酸化ペプチドのみに強く反応する抗体(Fab1、Fab2)を取得
わずかなアミノ酸の違いを検出するモノクローナル抗体
類似した4種のアミノ酸配列の違いを識別するモノクローナル抗体を取得
抗原1a、2aで免疫した個体のポリクローナル抗体poly1、poly2には特異性がみられない。
これらの個体から取得されたモノクローナル抗体(Fab1-1~2-4)は、標的配列のみに高い特異性を示した。
ヒトモノクローナル抗体
ヒトモノクローナル抗体は、動物から取得した抗体と違ってヒトの体内で免疫応答を引き起こす可能性が小さく、医薬品の候補として着目されています。
また、病変部位に特異的に存在する分子に対する抗体がヒトの体内でつくられる事も知られており、このような抗体は、腫瘍マーカーなど疾患マーカーを識別する特異性の高いプローブとしての応用が期待されます。
病態や発症機構の解明においても、ヒトモノクローナル抗体の取得は有効なアプローチです。
例えば、自己免疫疾患では異常な抗体が直接的に病気を引き起こすケースが知られており、モノクローナルな患者自己抗体の同定によって、これまで見えてこなかった疾患の側面が明らかになってきます。
そのほか、COVID-19のような感染症を引き起こすウイルスに対する抗体の同定など、ヒトの体内で機能しているモノクローナル抗体の同定や解析によって、疾患と免疫のより詳細な解明が可能になると期待されます。
ヒトモノクローナル抗体取得実績
がん細胞に対するモノクローナル抗体
固形がん患者のがん組織からがん細胞へ結合するモノクローナル抗体を取得
複数のがん細胞に強く結合する抗体(#2)を取得
担がんマウス(CDX)でのがん組織の蛍光免疫染色
コントロール抗体
抗体(#2)
固形がん浸潤B細胞から取得された抗体は、がん組織の組織免疫染色に使用できる
コロナウイルス(SARS-Cov-2)に対するモノクローナル抗体
感染者の血液からSARS-CoV-2の武漢株、欧州株、オミクロン株(BA.1、BA.2、BA.5)までの変異株に対して
中和活性を示す広域中和抗体を取得
抗体MO1のオミクロン株BA.5に対する
中和活性の解析
濃度依存的にウイルスの増殖を抑制する抗体MO1を取得(データは神戸大学森教授よりご提供)
標的スパイクタンパク質に結合した
抗体MO1の立体構造
抗体MO1は、オミクロン株を含んだ様々な変異株(D614G, Delta, BA.1, BA.1.1, BA.2, BA.2.75, BA.5)において、配列が共通した箇所を認識している。
精製した結合標的タンパク質(RBDドメイン)をもちいた解析から、BA.2、BA.5に対しそれぞれ解離定数(Kd値)3.3 nM、11 nMの親和性で結合する事が示された。(図はPDB 8h3nの公開情報より作成)
参考文献
論文
- Rapid Generation of Monoclonal Antibodies from Single B Cells by Ecobody Technology. Antibodies, 7, 38 (2018)
- Ecobody technology: rapid monoclonal antibody screening method from single B cells using cell-free protein synthesis for antigen-binding fragment formation. Sci Rep, 7, 13979 (2017)
- N-terminal SKIK peptide tag markedly improves expression of difficult-to-express proteins in Escherichia coli and Saccharomyces cerevisiae. J Biosci Bioeng. 123, 540 (2017)
- ‘Zipbody’ leucine zipper-fused Fab in E. coli in vitro and in vivo expression systems. Protein Eng Des Sel. 29, 149 (2016)